ホンダからの書面

 

 

平成11年8月24日、ホンダ相談部に電話をし クローセンシステムの欠陥の件でホームページを開く旨を伝えた。 そして、「公平を期す為ホンダ側の言い分も掲載したい」と伝え、2、3の質問についても、書面での回答をお願いした。 こうして、9月上旬 下の書面が送られてきた。

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これを書面(1)と名付けておくが、全てに回答が頂けたわけではない。 そこで、再度、欠陥クローセンシステムの装着車種や修理を受けた個数などについて返答をお願いした。 そして、10月上旬 下の書面(2)が送られてきた。


■ まず、欠陥クローセンシステムが装着されている車種について

書面(2)によれば、アコード以下5車種とのことであるが、私としては そのまま信用してはいない。

ずっと以前、ホンダ側と初めて話し合いを持った時、クローセンシステムに設計ミスがあるのは アコードインスパイアだけとのことであった。 ミスが見付かったのがアコードインスパイア用であった為、最低アコードインスパイアは認めるほかないにしても、その他の車種には及ばないとのことであった。

しかし、私が疑問に思い、アコードとインテグラのクローセンシステムを調べてみると、やはり同様の設計ミスがあった。 アコードとアコードインスパイアに問題があるとなると、当然、その姉妹車、アスコットとビガーにも問題があるはずである。

そこで、2度目の話し合いの折、以上の5車種のクローセンシステムに問題があることを指摘すると、ホンダ側は 「それでいいと思います」との返答であった。 微妙な言い回しなので、実際には5車種以上に及ぶことが推測された。

なお、このようなやり取りについては月刊誌にも記載されており、下の画像はその部分である。 著作権を侵すようなことは したくはないが、私の発言がそのまま載せられている部分なので 掲載をお許し願いたいと思う。

さて、欠陥クローセンシステムが装着されている車種として、書面(2)には5車種の名が挙げられている。
しかし、これら5車種は 以前私が指摘した車種そのままである。 当時、私がシビック等の名を出さなかったのは、単に調べなかっただけのことであり、問題がないからではない。

従って、私としては、ばれた分だけが申告されている、との印象を持ってしまう。 ばれていない分は隠されたままという疑念はぬぐえず、欠陥品の数も1801個で済まないかもしれない。
また、書面(1)によれば、欠陥クローセンシステムが販売されたのは 日本国内だけとのことであるが、信じて良いのか分からない。 これまで嫌と言うほどホンダに騙されて来たので、ホンダの言うこと全てに疑いの目を向けてしまう。


■ 市場措置に関して、まず銘記しておくべきこと

書面(1)によれば、二度サービスニュースを出し十分な措置を取ったとのことである。

まず銘記すべきことは、これらの措置が取られたのは 自動車評論家の働きかけや記事の掲載といった圧力による、ということである。 元々、クローセンシステムの欠陥は放置されており、私が何度抗議しても対策は取られなかった。
ホンダは当然の如く欠陥を放置しており、そこには 「ユーザーに損害を与えても構わない」との思いがある。 そのような思いなしに、クローセンシステムの欠陥は放置できないはずである。

製品の欠陥によってユーザーが被害を受けていても知らぬ顔を通す、これが本来のホンダ流。
ホンダが書面(1)にある市場措置を持ち出したのは、欠陥を放置することが 指弾を浴びる状況になってのことである。 そこには、ユーザーに対する責任も配慮もなく モラルも良識もない。 自らの利益だけで動く姿がある。

では、クローセンシステムの欠陥に対して どう対応されるべきであったか、それについては議論の余地はない。
設計ミスが分かった段階で 早急にユーザーに連絡を取って修理を行う、これ以外ないものである。

クローセンシステムの不具合は、設計段階で絶縁対策を忘れるというもので 製品は悉く欠陥品である。 故障し易いとか不良品が混入しているといった問題ではない。 製品は全滅、ユーザーの被害も明白、迅速な修理対策以外何もない。


■ 市場措置という名に値するのか

書面(1)によれば、 92年7月と93年5月に ホンダ販売店にサービスニュースを出し修理措置を取ったとのことである。

前者の措置については、時期から言って下の書面の措置である。 書面の日付は92年8月になっているが、6月の段階で同様の内容の書面が草案として提示されていた。 ホンダ側は正式な書面を出し渋っていたようで、自動車評論家の方の働きかけで8月になって出して来たという経緯がある。

この書面の措置については、既に述べた通り ただの見せかけで実効性がないことは明らかである。 「修理対策は取ってある」と言い訳する為の措置と述べたが、実にその通りのことが行われている。 書面(1)では、このような見せかけの措置でもって 対策済みとの弁明である。

後者の93年5月の措置については、平成8年5月にホンダ相談部から 「不具合についての情報を 販売店に流す以上のことはしていない」との言明を得ている。 ろくでもない措置であることは明らかである。
書面の中に 「購入者に口頭にて伝え修理を行っております」という文言があるが、これは、書面の公表を伝えてあった為に 取り繕っただけのものであろう。 ホンダには、欠陥の事実をユーザーに伝えられなかったはずである。

いずれにしろ、きちんとした修理対策を取ったと言い張るのなら、ホンダ側は、自信を持って修理済み個数を公表すれば良い。 しかし、書面(2) 「お尋ねの修理個数等に付いては情報開示の義務は無い」との回答である。
ホンダ担当者の話では、修理個数の数字は手元に来ているが公表はできない、とのことだった。 要は、隠すほかない数字なのであろう。

(注) 後に判明したことを書いておく。
サービスニュースが販売店に出されたと言っても、クローセンシステムの欠陥は伝えられてはいない。 設計ミスは隠蔽され、単なる故障の問題にすり替えられているのである。

クローセンシステムの問題というのは、設計段階で絶縁対策を忘れた為に 全ての製品で電気が流れ放しになることであった。 しかしホンダは、リレー(スイッチ)が故障して電気が流れ放しになることがあると販売店に虚偽説明を行ったのである。 設計ミスにより全ての製品で電気が流れ放しであることを隠し、故障により電気が流れ放しになることがあるという問題にすり替えたのである。

このような軽微な問題にすり替えられれば、まともな市場措置など期待すべくもないであろう。 ホンダの言う市場措置は、市場措置を取ったように見せかける為のものであり、悪質な誤魔化しである。


■ 書面の中で最も注目すべきは、「クローセンシステムの不具合は 本来サービスキャンペーンで対応すべきであるが、トラブルの発生率が少ない為サービスキャンペーンとはしない」との弁明である

ホンダによれば、トラブルは4件だけで 「発生率は少ない」とのことであるが、これは全くの誤魔化しである。

クローセンシステムに関する苦情が メーカーに数多く上がって来ないのは事実であろう。
しかし、それは、トラブルの発生率の低さを示すものではない。 実情は、ユーザーがクレームを付けたとしても メーカーには上がらないのである。

ユーザーが 「バッテリーが上がり易い」と苦情を言っただけで、ディーラーはメーカーに報告を上げるわけではない。 ディーラーが車を調べ クローセンシステムの欠陥に気付いた時に メーカーに報告を上げるのである。
しかし、クローセンシステムの欠陥に気付くのは容易ではなく、苦情はあってもメーカーに上がらない、ということになる。

ユーザーが 「バッテリーが上がり易い」とクレームを付け、ディーラーが すぐにクローセンシステムの欠陥に気付く、などということは考えられない。
手間暇かけて車を詳しく調べなければ、クローセンシステムの設計ミスは分からない。 ディーラーの通常の対応では まず分からないであろう。 メーカーに上がる為のハードルは高く、上がらないのが当然と言って良いほどである。

書面には メーカーに上がったのは4件だけとあるが、これは、4件だけがハードルを越えたことを意味する。 ホンダはトラブルの発生が4件だけと解釈しているが、とんでもない話である。

多くのユーザーが ハードルを超えられずにいるはずである。 私の場合も、ディーラーはバッテリー上がりの原因を 車の乗り方が少ない為と考えていた。 ハードルを越えたのは、自分で苦労して欠陥を突き止めたからである。 雑誌の2件では、ユーザーは たまたま欠陥の記事を見てハードルを越えた。 特別なことがない限り、メーカーに上がらないことを示している。

雑誌の2件は 良い参考になる。
どちらのユーザーも、記事を見る以前 バッテリーの充電不足をディーラーに相談していた。 そして、ディーラーはクローセンシステムの欠陥に気付くことなく、バッテリーの問題として片付けていた。 もちろん、このような状況では、ディーラーは どのような報告も上げていない。 苦情があってもメーカーに上がらないことの好例である。

記事を見なかった大多数のユーザーについても、同様の状況に陥っていることが考えられる。
クローセンシステムの欠陥の程度からすれば、多くのユーザーがクレームを付けているはずである。 しかし、クローセンシステムの欠陥は分からず、「バッテリーに問題がある」、「車の乗り方が少ない」といった、もっともらしい理由で片付けられてしまう。

実に、メーカーに上がった4件の内 少なくとも3件で、このような状況を経てきた。 この割合からすれば、メーカーの見えないところで 多くのトラブルや苦情が出ているはずである。
これらがメーカーに上がらないのは 上がれないから。 トラブルが発生し 苦情があっても、クローセンシステムの欠陥に気付けないのである。

もし、ホンダが 「クローセンシステムの欠陥に気付くのは難しくない、苦情があれば 必ずメーカーに上がる」と言うのなら、自らを振り返ってみることである。
そもそも、クローセンシステムの欠陥が市場に出たのは メーカー自身が気付けなかった為である。 設計段階で絶縁対策が忘れられ 品質検査でも見落とされた。 メーカーの関係者全て 気付くことがなかった。

メーカーが気付けないのなら、ディーラーに気付けと言うのは無理であろう。 ディーラーが気付けないものならば、ユーザーがクレームを付けても メーカーに上がることはない。

このような状況は、ユーザーにしてみれば 辛い状況である。 バッテリーが上がり易いのに、いくらディーラーに相談しても問題が解決しないからである。
私の場合、何度もディーラーに行き、病気扱いされそうであった。 雑誌の例では、ユーザーは何度も相談し バッテリーの交換を勧められている。 古くもないバッテリーの交換は非常に不満だったとのことである。 多くのユーザーが このような苦境にあることが推測されるのである。

本来なら、このような状況でこそ、メーカーは きちんとした修理対策を取るべきである。 ディーラーでは解決しない問題の場合、メーカーが乗り出さなければ ユーザーは問題を抱え続けることになる。
しかし、ホンダは 自らの責任を投げ出し ユーザーを見捨て 逃げ得を図った。 その逃げの口実が 「発生率が少ない」である。 ユーザーの苦境を逆手にとって 対策を取らないことの口実に利用するのである。


書面によれば、サービスキャンペーンとしない論拠は 「発生率が少ない」である。 しかし、以上の通り、これは事実ではない。
論拠が崩れた以上、ホンダは サービスキャンペーンで対処すべきであったことを認めなければならない。 書面にあるように、クローセンシステムの不具合が分かった段階で、運輸省に報告をし 使用者に連絡し 修理の措置を取るべきであった。
しかし、ホンダが取った対応は 全くの放置。 深く反省して頂く必要があろうかと思う。

以上、欠陥クローセンシステムの問題として、バッテリー上がりだけを取り上げてきたが、それ以外の問題もある。
常に電気が流れ放しなら、無駄なガソリン代を強いられる。 また、クローセンシステムのリレー装置は無用であり ユーザーは不要品にお金を払わされている。
金額の多少は別にして、ユーザー側の損害は確実である。 きちんと対処するべきではなかったのか、ホンダに問うてみたいところである。


反論があればお寄せ下さい。 > 本田技研工業株式会社御中

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