国土交通省に聞く

 

 

( 注 )
このページでは、国土交通省とのメールのやり取りを載せていますが、冗長な部分が多い為 要点箇所を青字にしました。 

クローセンシステムの件で、これまで一度も運輸省(国土交通省)に相談したことはない。
自動車メーカーの対応に問題があるとき、本来なら その監督官庁である運輸省に話を持っていくのがスジではある。 しかし、多忙な業務の中で、一個人の相談や苦情など 取り合ってもらえそうに思えなかった。 また、天下り先である自動車メーカーに きびしい対応が出来るのかという疑問もあった。 たとえ担当者が適切な対応を取るつもりでも、上から圧力がかかったり、政治家から圧力がかかったり…という連想も働いてしまう。
結局はうやむやにされてしまいそうで、これまで運輸省には相談する気にもならなかった。

このホームページの作成を決めたのは、マスコミが連日 雪印乳業の食中毒事件を取り上げている頃だった。 しばらくして 三菱自動車のクレーム情報隠匿、リコール隠しの問題が出てきた。 このホームページを開設した7月26日は、三菱自動車が大量のリコールを届け出た日だった。

たまたま時期が重なってしまったが、このホームページを開く気になったのは 三菱自動車の件とは関係ない。 しかし、一連の報道を見ていて 一度運輸省にホンダの件を聞いてみよう という気になってきた。
これまで運輸省には偏見を持ち過ぎていたように思う。 運輸省のホームページを見てみると、ユーザーから不具合情報を集めていることも分かった。

そこで、平成12年9月18日 以下のようなメールを運輸省に送った。


このメールの内容は、自動車関連の設計ミスと修理対策に関することです。 担当は、自動車交通局技術安全部審査課ユーザー業務室と思いますので、そちらへお回し下さいますようお願い申し上げます。

運輸省自動車交通局技術安全部審査課ユーザー業務室担当者殿

****と申します。
ご多忙のところ大変恐れ入ります。
このメールの内容は、ホンダ純正用品の設計ミスと修理対策に関することです。
設計ミスに付きましては、ホンダも認めていることですが、クローセンシステムという装置で絶縁対策を忘れた為に、車のキーを切っていても、電気が流れ放しになってしまうことです。当然、バッテリー上がり等のトラブルが出ます。

実は、この設計ミスは、私のホンダ車がバッテリー上がりを起こしやすいので、調べていくうちに分かったものです。そして、このミスをホンダに知らせた時には、既に、1年以上に渡って、数千個(ホンダによれば1801個)の欠陥品が販売されていました。

この不具合をホンダは放置していたので、何度も抗議したのですが、個人の力ではどうにもなりませんでした。その後、この問題が、ある雑誌に掲載されると、ホンダは「運輸省とも相談して、改善対策をとる」と表明しました。

私は、これで解決したと思っていたのですが、実際には改善対策は取られませんでした。ホンダによれば、改善対策を取ってはいないが、別の対策をとったとのことです。しかし、詳しい事を聞くと、「情報開示の義務はない」と逃げられてしまいます。

実は、この問題に関して、2ヶ月近く前に、ホームページを開きました。一部未完成の部分もあるのですが、基本的なことは全て詳細に書いてあります。URLは、以下の通りなのですが、一度ご覧頂けないでしょうか?

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hinoki/5501/index.html

運輸省担当者様にお尋ねしたいのは次のようなことです。

・ ホンダによれば、クローセンシステムの設計ミスは、「保安基準不適合」でもなく、「安全欠陥」でもないので、「商品性不具合」とのことですが、この解釈で良いのでしょうか?

・ 商品性不具合の修理対策は、サービスキャンペーンとして、運輸省へ報告し、ユーザーに連絡を取って修理すべきもの、と聞いています。ホンダは、当初放置し、今もまともな対策を取ってはいませんが、道義的な問題で済むのでしょうか?

・ クローセンシステムの設計ミスに関して、ホンダは、どのような対策を取るべきであったとお考えでしょうか?また、今後、どのような対応を取るべきだとお考えでしょうか?(クローセンシステムを装着した車は、廃車になっているものも多い、また、用品である為、車台番号による特定は困難)

・ 以上のことに関して、運輸省からホンダに対して、何らかの指導はあるのでしょうか?

・ 不具合によって、バッテリー上がり、バッテリーの交換等、不利益を被ったユーザーは多数いるはずなのですが、その補償問題は、どのような扱いになるのでしょうか?

・ 三菱自動車の件と関連して気になるのですが、クローセンシステムの不具合は、運輸省の検査の際、提示されていたのでしょうか?

以上、お答え頂ける範囲で結構ですから、ご返答頂けると幸いです。ご返答頂けると、ホームページに掲載したいのですが、何か差し障りがあれば、その旨お書き添え下さいますようお願い申し上げます。

以上のこと、どうぞ宜しくお願い申し上げます。


以上が運輸省宛のメールである。
修理対策に関して どのような見解が示されるのか。
設計ミスがユーザーに損害を与えていることが明白である以上、「放置しておいて問題はない」という見解は考えにくい。 「修理対策が必要」との見解なら、ホンダにとっては 厄介なことになろう。 どのように答えても問題が出て来そうで、運輸省も苦慮するかもしれない。
で、頂いた返信は以下の通り


平成12年11月10日


 10月18日にメールのありました「自動車の不具合」について、次のとおり回答いたします。
 当ユーザー業務室では、一般ユーザーからの欠陥車等にかかる相談を受付し、車両自体に問題がある可能性があると思われる場合には、自動車メーカー等に対して、その不具合の原因究明を指示するとともに、その結果の報告を求め、これがリコールに該当するか否かの判断を行っております。
 お申し出のクローセンシステムに係る不具合については、頂いた情報だけでは調査を実施することが出来ません。詳細な不具合内容と、当該車両の登録番号、車台番号、原動機型式、走行距離、初度登録年等を教えて下さい。
 なお、現在のところ運輸省にはホンダ車のバッテリー上がりについて同様の不具合の情報は寄せられていませんので、今後の市場の不具合の発生状況を注視するとともに必要に応じて調査指示をしたいと思います。

(参考)
 リコールとは、自動車製作者等がその製作し、または輸入した同一の型式の一定の範囲の自動車の構造・装置又は性能が「道路運送車両の保安基準(運輸省令)」に適合しなくなるおそれがある状態又は適合していない状態にあり、かつ、その原因が設計又は製作の過程にあると認められる場合において、当該自動車について、基準に適合させるために必要な改善措置を運輸省に届け出て無償で修理する制度です。


運輸省自動車交通局技術安全部
審査課 ユーザー業務室
FAX 03-3580-3227
TEL 03-3580-5871(ダイヤルイン)
E-mail:SINSA-USER@so.motnet.go.jp


以上が運輸省からの返信である。 (冒頭部の10月18日は 9月18日の誤り)

私としては がっかりである。 私の予想では、運輸省は、まず、私の言い分の事実確認の為 ホンダへ問い合わせをするものと思っていた。 その為、言い分に食い違いが出た場合に備えて、詳細な資料や雑誌記事のコピーを送る心積もりをしていた。 また、欠陥クローセンシステムの現物を提示する用意もあった。
運輸省のユーザー業務室が超多忙であることは想像に難くないが、返信を2ヶ月近く待たされて、この内容では やはり落胆の思いである。

とは言うものの、一方で、無視される可能性も大きいと思っていた。 中央官庁では個人の相談など黙殺されてしまいそうな感がある。 そういう意味では、返信を頂けて良かったとの思いもある。
門前払いを食らったわけでもなく、私に質問を向けられてもいるので、引き続き11月21日 以下のメールを送った。


 運輸省自動車交通局技術安全部審査課ユーザー業務室殿

****と申します。
クローセンシステムなるホンダ純正用品の設計ミスに関して、御多忙の中返信を頂き有り難うございます。

御返信の中に質問事項がありましたので、本メールでは、それにお答えさせて頂き、合わせて、当方からお尋ねさせて頂きたく存じます。御多忙の中、長いメールで心苦しいのですが、宜しくお願い申し上げます。

貴方では多くの案件をおかかえのことと思いますので、混乱なきよう、念の為、私の最初のメールを添えておきます。
以下、最初のメール(9月18日)の主文

******

このメールの内容は、ホンダ純正用品の設計ミスと修理対策に関することです。

設計ミスに付きましては、ホンダも認めていることですが、クローセンシステムという装置で絶縁対策を忘れた為に、車のキーを切っていても、電気が流れ放しになってしまうことです。当然、バッテリー上がり等のトラブルが出ます。

実は、この設計ミスは、私のホンダ車がバッテリー上がりを起こしやすいので、調べていくうちに分かったものです。そして、このミスをホンダに知らせた時には、既に、1年以上に渡って、数千個 (ホンダによれば1801個)の欠陥品が販売されていました。

この不具合をホンダは放置していたので、何度も抗議したのですが、個人の力ではどうにもなりませんでした。その後、この問題が、ある雑誌に掲載されると、ホンダは「運輸省とも相談して、改善対策をとる」と表明しました。私は、これで解決したと思っていたのですが、実際には改善対策は取られませんでした。ホンダによれば、改善対策を取ってはいないが、別の対策をとったとのことです。しかし、詳しい事を聞くと、「情報開示の義務はない」と逃げられてしまいます。

実は、この問題に関して、2ヶ月近く前に、ホームページを開きました。一部未完成の部分もあるのですが、基本的なことは全て詳細に書いてあります。URLは、以下の通りなのですが、一度ご覧頂けないでしょうか?

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hinoki/5501/index.html

運輸省担当者様にお尋ねしたいのは次のようなことです。

・ ホンダによれば、クローセンシステムの設計ミスは、「保安基準不適合」でもなく、「安全欠陥」でもないので、「商品性不具合」とのことですが、この解釈で良いのでしょうか?

・ 商品性不具合の修理対策は、サービスキャンペーンとして、運輸省へ報告し、ユーザーに連絡を取って修理すべきもの、と聞いています。ホンダは、当初放置し、今もまともな対策を取ってはいませんが、道義的な問題で済むのでしょうか?

・ クローセンシステムの設計ミスに関して、ホンダは、どのような対策を取るべきであったとお考えでしょうか?また、今後、どのような対応を取るべきだとお考えでしょうか?(クローセンシステムを装着した車は、廃車になっているものも多い、また、用品である為、車台番号による特定は困難)

・ 以上のことに関して、運輸省からホンダに対して、何らかの指導はあるのでしょうか?

・ 不具合によって、バッテリー上がり、バッテリーの交換等、不利益を被ったユーザーは多数いるはずなのですが、その補償問題は、どのような扱いになるのでしょうか?

・ 三菱自動車の件と関連して気になるのですが、クローセンシステムの不具合は、運輸省の検査の際、提示されていたのでしょうか?

*****

以上が私の最初のメールの主文です。
以下は、先日頂いた返信の主文です。
なお、冒頭の10月18日は、9月18日の誤りです。

*****

>平成12年11月10日
>
>
> 10月18日にメールのありました「自動車の不具合」について、次のとおり回答いたします。
> 当ユーザー業務室では、一般ユーザーからの欠陥車等にかかる相談を受付し、車両自体に問題がある可能性があると思われる場合には、自動車メーカー等に対して、その不具合の原因究明を指示するとともに、その結果の報告を求め、これがリコールに該当するか否かの判断を行っております。
> お申し出のクローセンシステムに係る不具合については、頂いた情報だけでは調査を実施することが出来ません。詳細な不具合内容と、当該車両の登録番号、車台番号、原動機型式、走行距離、初度登録年等を教えて下さい。
> なお、現在のところ運輸省にはホンダ車のバッテリー上がりについて同様の不具合の情報は寄せられていませんので、今後の市場の不具合の発生状況を注視するとともに必要に応じて調査指示をしたいと思います。

*****

以上が、貴方からの御返信の主文ですが、まず、質問事項の回答は以下の通りです。

> 詳細な不具合内容と、当該車両の登録番号、車台番号、原動機型式、走行距離、初度登録年等を教えて下さい。

車名(通称名)  アコードインスパイア
登録番号     *****
型式         E-CB5
車台番号     CB5-*****
原動機型式    G20A
初度登録年   平成1年10月
走行距離     7万1千キロ (平成12年11月現在)

不具合内容に付きましては・・・
バッテリーの充電不足が続くので常々気にかかっていたところ、平成2年3月11日にバッテリー上がりを起こす。これは新車で購入して4ヶ月半後のこと、また、原因であるクローセンシステムを取り付けて4ヶ月後のことです。この時JAFの救援を受けましたが、JAFから渡されたロードサービス書は今も持っており、走行距離2300キロの時にバッテリー上がりを起こしたことが明記されています。

最初のメールにも書きましたが、このようにバッテリーが上がり易い原因はクローセンシステムの設計ミスにあります。クローセンシステムの金属製ケース(電圧がかかっている)を、絶縁せずにボディに取り付けるように設計したことです。当然、車のキーを切っていても通電し、バッテリーが上がり易いのです。
詳しくは、以下の私のホームページをご覧下さい。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hinoki/5501/index.html

貴方からの返信に次のような文言があります。
> なお、現在のところ運輸省にはホンダ車のバッテリー上がりについて同様の不具合の情報は寄せられていません

ホンダによれば、クローセンシステムが原因のバッテリー上がりは、ディーラーから一件も上がってきていないとのことです。これは当然と言えば当然の話で、「バッテリーが上がりやすい」とディーラーでクレームをつけても、クローセンシステムの設計ミスは容易には分からない、ということです。
私も何度もディーラーに相談に行ったのですが、「気にし過ぎ」が原因とされました。また、他の人の例では、バッテリーに原因があるとされ、買い換えるようにと、ディーラーから言われています。
車には様々な不具合が生じますが、例えば、オイル漏れや装置の故障などは、問題の把握も容易で原因も追及しやすい不具合です。しかし、「バッテリーが上がりやすい」というケースでは、様々な原因が考えられるわけで、ディーラーにはクローセンシステムの設計ミスを解明するまでの労を期待できません。
ですから、私が言いたいことは、クローセンシステムのケースでは、ユーザーがクレームをつけても、メーカーには上がらないということです。

メーカーに上がる、上がらないにかかわらず、設計段階で絶縁対策を忘れたことはホンダも認めており、ホンダとしては、早急に修理対策を取るべきであったと思います。
たとえユーザーがバッテリー上がりを起こさないとしても、常に電気が流れ放しだとガソリン代が余分にかかるわけで、クローセンシステムを装着しているだけでユーザーは損害を被っていることになります。

ユーザー業務室の方にお願いしたいのですが、クローセンシステムの設計ミスに関して、ホンダの方に御確認を取られた上で、どのような修理対策が取られるべきであったかを教えて頂けないでしょうか。
もし、ホンダ側の話が私と食い違うようであれば、私の方は、詳しい資料や雑誌記事のコピーをお送りする用意があります。また、現物の欠陥クローセンシステムを提示することも出来ます。

私の手元には、ホンダお客様相談センターから送られてきた書面(平成11年9月2日付)があるのですが、これによれば、クローセンシステムの設計ミスは商品性不具合と捉えているとのことです。そうすると、ホンダ側の解釈に従っても、サービスキャンペーンとして対応すべきだったのではないでしょうか。また、運輸省への報告も必要だったのではないでしょうか。
しかし、実際には全く放置されており、私は何度も抗議したのですが、個人の力ではどうにもなりませんでした。雑誌に掲載された時には、ホンダは、「運輸省とも相談して、改善対策を取る」と表明したのですが、実行されることはありませんでした。

繰り返しになりますが、私が是非お尋ねしたいことは、クローセンシステムの設計ミスに対して、本来どのような修理対策が取られるべきであったかということです。そして、この質問に付随するのですが、最初のメールに記載した質問についてもお答え頂けたら幸いに存じます。

長文のメールで恐れ入ります。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
平成12年11月21日
*氏名* 
*住所* 
*Eメール*
*Eメール*(予備)


このメールに対して、平成13年1月17日返信を頂いた。


**様
11月21日付けメールのありました「ホンダ純正用品の設計ミス」について次 のとおり回答いたします。
  当ユーザー業務室では、自動車ユーザー等の皆様から車両の不具合情報をいただ き、多発する等の場合には、必要に応じて自動車メーカー等に対して、その不具合 の原因究明を指示するとともに、その結果の報告を求め、これがリコールに該当す るか否かの判断を行っております。
 お尋ねの「クローセンシステム」は、潟zンダアクセスが製造しホンダ車の販売 店(ディーラー)において装着販売されるものです。当該用品は、自動車用部品と 判断され、これらの部品の不具合に対する責任の所在は、本田技研工業鰍ナはなく 潟zンダアクセスにあります。
 国土交通省は、潟zンダアクセスと本田技研工業鰍ゥら平成4年10月に「リア クローセン(接近感知装置)について」の報告を受けました。この報告の中で本田 技研工業鰍ヘ、当該システムが販売店装着注文仕様(いわゆる「ディーラーオプ ション」)であることから、潟zンダアクセスに対して販売店に「用品サービス ニュース」を発行し、市場措置をするように指示したとのことです。
 なお、日本では現在、自動車用部品のリコール制度はありません。
 また、不利益に関する補償問題については、民事で解決していただくことになり ますので、国土交通省としては関与できません。
(参考)
 リコールとは、自動車製作者等がその製作し、または輸入した同一の型式の一定 の範囲の自動車の構造・装置又は性能が「道路運送車両の保安基準(運輸省令)」 に適合しなくなるおそれがある状態又は適合していない状態にあり、かつ、その原 因が設計又は製作の過程にあると認められる場合において、当該自動車について、 基準に適合させるために必要な改善措置を国土交通省に届け出て無料で修理する制 度です。
(追記)
 省庁再編によるコンピューター環境の再構築によってメールの回答が大幅に遅れ たことをお詫び申し上げます。

国土交通省自動車交通局技術安全部
審査課 ユーザー業務室
FAX 03-5253-1640
TEL 03-5253-8597
0120-744-960(情報提供フリーダイヤル)
E-mail:SINSA-USER@mlit.go.jp

    


以上が 国土交通省からの返信メールである。

私には一つの発見があった。 それは、ホンダがクローセンシステムの件を 国土交通省に報告していたことである。
以前、国民生活センターから 「ホンダは運輸省にどのような報告もしていない」と聞かされており、私には意外なことであった。

しかし、問題は その報告の時期である。 平成4年10月とのことであるが、これはクローセンシステムの問題が月刊誌に掲載された直後である。 月刊誌は平成4年の11月号であるが、11月号と言っても 実際の発行は9月26日。 記事が出て あわてて取り繕ったのであろう。

当然ながら、欠陥が公にならなければ、国土交通省への報告もなく 市場措置が打ち出されることもなかったわけである。
ホンダが設計ミスを知ったのは平成3年2月、国土交通省に報告があるまで1年8ヶ月、この間欠陥は内々にされ、ユーザーは被害を受け続けていた。 ホンダにとっては、問題が表面化しなければ ユーザーなど どうでもよいのであろう。

このような企業姿勢は非難があって然るべきである。
市場措置を取ると言っても、それは、欠陥放置がばれ指弾を浴びる状況になったからである。 そこには、製品に対する責任もなく、ユーザーへの配慮もない。 自らの利益だけで動く姿がある。

   −−−−−

余談になるが、メールを読んでの思いを書いておく。

かつて、ホンダとの話し合いでは、私はクレーマーのように扱われた。 市場措置の必要性を話すと ことごとに嘘や屁理屈を浴びせ掛けられた。 3度の話し合いの末、ホンダが言ったことは、「クローセンシステムのことは欠陥とは思っていない。 修理対策を取る意思もない」だった。

そして、今回、国土交通省からメールを頂き、ホンダが 市場措置を取る旨報告を上げていたことを知った。 このことは、取りも直さず、クローセンシステムの不具合には市場措置が必要であることを、ホンダが国土交通省に対して認めたということである。

そうなると、もうホンダからクレーマー扱いされないことは確実である。 メールを読んで 本当に救われたような気持ちになった。

   −−−−−

さて、上記のメールによれば 「本田技研工業は ・・・ ホンダアクセスに対して・・・市場措置をするように指示した」とのことである。 普通なら、この後、市場措置が実施され 欠陥製品は修理されて一件落着となるはずである。
ところが、実際には、そうはならなかった。

平成8年5月のこと、クローセンシステムの設計ミスに対して どのような措置が取られたのか、自動車製造物責任相談センターに調べてもらうことになった。 そして、5月13日 ホンダ相談部から電話があり、「クローセンシステムに関しては、不具合についての情報を 販売店に流す以上のことはしていない」との言明があった。

結局、最後まで、まともな措置は取られなかった。 国土交通省に市場措置を取る旨報告したにもかかわらずである。
欠陥製品をユーザーに渡しておきながら、企業利益と保身しか考えず、ホンダは どこまでも誤魔化し続けた。


さて、もう一度 国土交通省からのメールに話を戻す。

御多忙の中 返信を下さったことに感謝したい。 しかし、残念ながら 肝心の質問には答えて頂けなかった。 私が是非お尋ねしたかったのは、「クローセンシステムの設計ミスに対して、本来どのような修理対策が取られるべきであったか」ということで、念を押して お尋ねしてあった。
リコールの対象にならないことは 最初から分かっていたが、改善対策やサービスキャンペーンなど、ユーザーに直接連絡して修理をする対策が必要ではなかったかを聞きたかった。

御回答頂けなかった理由は、メール文面からはよく分からない。 クローセンシステムの設計ミスのような場合、その市場措置に関して 制度上はっきりした規定が無いのかもしれない。 或いは、ユーザー業務室の担当ではない とも読み取れる。
しかし、私の質問に関して一切触れられていないのを見ると、あえて避けられたとの感がある。

思えば、どのような回答をしても問題が出る質問であった。
設計ミスが被害を及ぼす以上、「放置しても可」という回答は考え難い。 もしそのような回答をすれば ユーザー側から反発を受ける。 また逆に、「修理対策を取るべきもの」という回答をすれば、ホンダ側に問題が持ち上がる。 回答無しの裏には、ホンダへの配慮があったのかもしれない。

国土交通省としては しかるべき見解を示すべきであろう。 「国民の生命、財産を守る」という観点からすれば、メーカーに対して何らかの対応があってよいものと思う。 クローセンシステムの欠陥の場合、直接的に生命にはかかわらないものの 財産上の損失は明白である。
従って、返信の内容には やはり不満がある。

さて、今後のことであるが、国土交通省にさらに問い続けていくこともできる。 監督官庁として ホンダに対してきちんと対処してもらいたいとの思いがある。 このまま幕を引けば、不誠実な企業がお咎めなしのままになる。 勧善懲悪で終わらないと 話としてはスッキリしない。

しかし、一方で、これ以上国土交通省を煩わせたくないという思いがある。 また、私の側に時間的、精神的な余裕がないということもある。
1月31日、国土交通省宛に以下のメールを送った。


国土交通省自動車交通局技術安全部 審査課 ユーザー業務室殿

返信を頂き有難うございます。
クローセンシステムについてお調べ頂き、お手数をおかけ致しました。

少し意見を述べさせて頂きますが、返信は不要でございます。

>  国土交通省は、潟zンダアクセスと本田技研工業鰍ゥら平成4年10月に
> 「リアクローセン(接近感知装置)について」の報告を受けました。
> この報告の中で本田技研工業鰍ヘ、当該システムが販売店装着注文仕様
> (いわゆる「ディーラーオプション」)であることから、
> 潟zンダアクセスに対して販売店に「用品サービスニュース」を発行し、
> 市場措置をするように指示したとのことです。

平成4年10月に貴省に報告があったとのことですが、これは クローセンシステムの設計ミスの記事が雑誌に掲載された直後のことです。
設計ミスが判明したのは平成3年2月で、報告があるまで1年8ヶ月、 その間、ミスは放置され、ユーザーは損害を被り続けていました。

記事が出て、あわてて取り繕ったというのが実情だと思いますが、 記事が出なければ、当然、貴省への報告もなく、市場措置が打ち出される こともなかったわけです。

この点を取っただけでも、メーカーの対応には問題があったわけで、 貴省からはメーカーに対して、何らかの対応があってよいものと考えます。

なお、クローセンシステムの問題を扱っている私のホームページ
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hinoki/5501/index.html

平成13年1月31日
*氏名*
*住所*
*E−Mail*

----- Original Message -----
以下略


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